タクシー愛だろ~

 スペインのバロセロナやマドリードではタクシーの10分の一にまでウーバーが増えています。そして乗客を奪われて生活を脅かされているタクシードライバーが抗議のストライキを打って混乱しているそうです。

https://www.asahi.com/articles/ASL704409L70UHBI00R.html

 テクノロジーの進化と車社会の進歩と世の中のニーズによって、ウーバーや中国の滴滴出行などのライドシェアサービスが実現したにせよ、一方で人々の足をこれまで守ってきたタクシーをいきなり亡き者とするのは如何なものでしょう。タクシー業界は各国行政が乗客の安全と利便を担保する責任を理由に管理してきた業界です。行政の指導にタクシー会社は対応して、中々言うことを聞いてくれない乗務員を説得して、より良い公共の足を築いてきて、その恩恵を乗客はそれなりに受けてきたわけです。

 しかし、その管理が行き届かなかった国や地域もあったことは否めません。そういうところほどウーバーが浸透しています。すなわち、スペインなどは行政とタクシー会社とその乗務員が三位一体となって横着をかましてきた可能性が高いのです。しかもそれまでタクシー業界に権威を振りかざしてきた行政が自由経済の大波を目の当たりにして打つ手無くあたふたしている間に飲み込まれてしまったのです。無知なタクシー会社経営者とその乗務員たちはかわいそうなものです。

 日本はというとお国柄その三位一体が功を奏して「白タク」という御旗が未だ色あせることなく、今のところライドシェアの上陸を阻止しています。しかし、車自体の安全性と安全運転支援技術の進歩、交通インフラの進歩、さらに保険や一般運転者の運転技術評価システムの進歩で、2種免許ドライバーの価値や運行管理技術の価値が下がることは時間の問題です。さらに、資本主義下の乗客の欲望は際限が無く、より便利にリーズナブルな代替交通手段を求め続けます。だから、流れに逆行してライドシェア陣営に敵対しているだけでは、三位一体で時代に取り残され、スペインと同じ轍を踏むことになります。

 今のうちにGMF(愚痴・文句・不満)を凌駕して、世の中に受け入れられたウーバーにはそれなりの正義があったという認識の下、ウーバーやそれらを受け入れた乗客に愛情を持って接し、そこで得た知恵とご縁を活かして自らのサービスと技術を磨いて進化させていけば、おのずとタクシー業界の道も開けるということかもしれません。